2022/10/30 岩手紅葉山行・仙人山
岩手の紅葉里山歩き、2日目は北上市と西和賀町の境に聳える仙人山へ。
秋田道を走っていると和賀仙人トンネルというのがあるし、この近くには和賀仙人駅もあり、ずーっと気になっていた仙人山。
早春はニリンソウの大群落が素晴らしいそうで、今回は山腹のブナ林の紅葉を目当てで歩きます。
登山道は、黄金を運んだ秀衡街道の通る仙人峠を経由する仙人コースと、古の水沢鉱山精錬所跡を通って登る岩沢コースの2つ。
岩沢駅起点で周回で歩くこともできるけど、今回は岩沢コース往復です。
(メジャーなのは仙人コース)
水沢鉱山跡へと通じる林道は車両通行止め、ゲートの前の路肩スペースに駐車です。
(岩沢駅にも車を停められる)
車両通行止めゲートを越えて出発。
この道、夏油高原スキー場へと続くトレッキングルートの一部でもあるようで、その標識はあったけど仙人山の標識はなくて、ちょっと不安。。。
渓谷を高巻いて伸びる砂利道の林道をてくてくと。
定期的に管理の?車が入っているようで、車の轍が付いてるし結構キレイに整備された林道です。
谷間の林道にはまだ朝日は射し込んでないのでやや薄暗い道だけど、対岸の斜面には日が当たってとっても色鮮やか。
この色づきっぷりを見ると、これからの道はすごい紅葉だろうな、と想像されて楽しみ(^^
そしてゲートを越えて30分ほど林道を歩いたところで、突如レンガ積みの壁が登場。
これが鉱山跡か?
レンガ積みの向かい側には、山積みのスラグ。
この円錐型の弾頭みたいなのはいったい何なんだ・・?!
しかもこのスラグの山、道の下を流れる沢まで続いているらしい。
その先に進んでいくと、水沢鉱山精錬所跡地の広場がありました。
開けた草原の中にレンガ積みの建物跡や塀が点在していて、廃墟感ハンパない。
大きな案内図もありました。
どうやらここが鉱山の入口で、この先には坑道や鉱山の設備がたくさん続いていたらしい。
寛文元年から昭和29年まで続いていた銅の鉱山で、坑夫やその家族3000人が暮らしていた鉱山町でもあったそう。
・・・なんか、何気にすごくないかい?
そう思って眺めると、江戸の南部藩時代から明治の文明開化、戦中戦後を支えた鉱山の跡ということで、なにやら栄枯盛衰の雰囲気もあり。
ラピュタかマチュピチュか。。。
鉱山跡は下山時にゆっくり見物することにして、ここはひとまず先へと進みます。
精錬所跡地の先には、今でも地元の方に信仰されている山神社の鳥居。
入口のお地蔵様にはお花が供えてありました。
ここも帰りにお詣りすることにして、行きは鳥居の前から手を合わせてご挨拶。
道沿いには、所長宅跡や尋常小学校跡、劇場跡などの建物の跡地も。
さぞや栄えていたんだろうなぁ。。。
そんな遺構を眺めつつ、日が射しこんで紅葉が明るく輝く道を辿ります。
紅葉の中に佇む石碑たち。
元禄時代の供養塔と、キリシタン墓石ですって。
いろんな出身、いろんな信仰の人が働いてたんだろうなぁ。
のんびり歩く道沿いの紅葉は、ますます鮮やかに。
特にカエデの赤がほんとに鮮やか♪
そしてゲートから1時間ほど歩いたところで、ようやく登山道の入口に到着。
といってもここも、仙人山入口の標識はなく「大選鉱場の跡地」の標識があるのみ。
ほんとにここで合ってるんかな、とちょっとドキドキしつつ、鉱山施設跡?の石垣とコンクリの間の狭い隙間を抜けて登山道へ。
隙間を抜けた先には、これまた何やら石造りの遺構が。
つる草が絡まって木々も生い茂って、まるでラピュタ!
遺構を抜けて少し急坂を登ると、再び緩やかなトラバース道へ。
そしてここからが、もう素晴らしい紅葉の道。
一面の黄金色がなんともまぶしい。
頭上から足元まで、キラッキラ(^^
木立の隙間から見上げる山の斜面も、一面の紅葉。
いやはや、これはすごいな。ちょうど紅葉真っ盛りじゃないですか。
そんな紅葉のトラバース道を歩いていくと、突然開けて仙人山の稜線が目の前に。
第一カラミ平だそうで、ここも鉱山の遺構の一つ。
そして今は、紅葉にかこまれた絶好の休憩地!
でもここで一息つくにはまだ早い、というわけで、登山道を先へと進みます。
坑道跡があちこちにあるようで、踏み跡があちこちに付いていて登山道がちょっとわかりづらい。
おまけに仙人山の標識もなく、やや不安。
(溶鉱炉跡、とか炭焼き窯跡、とかの標識はあるんだけど)
ピンクテープはあるけど、鉱山跡巡りの目印なんじゃないか、という疑惑もあり。
薮っぽくなく踏み跡確かな道を選んで歩きます。
でもこんな紅葉の道なので、心はほっこり。
あったまるなぁ。。。
しばらく歩いたところでようやく登場した仙人山方面の標識に、道合ってた!と勇気づけられたりして。
渓谷沿いに続くトラバース道の紅葉は、色鮮やかさが増す一方で。
ブナやミズナラ、カエデが色とりどり。
ちょうど紅葉真っ盛りゾーンをトラバースで歩いているので、ずーっとこんな紅葉の中の道です。最高だな。
そして稲荷坑分岐を過ぎてしばらく歩いたところで、急斜面の九十九折りに。
ここからが、圧巻の紅葉の道!
色鮮やかな紅葉を通して射し込む日射しで、辺り一面暖かな色合いに染まってます♪
ごろ太君もオレンジ色(^^
見上げる梢もこの彩り。
青空と紅葉と白い幹のコントラストが美しい。
ブナ主体の広葉樹林なので、いろんな色合いが混ざり合っているのもまたヨシ。
豪雪地の和賀らしく、幹が曲がったブナもあちこちに。
鮮やかな色合いと、足元から頭上まで続く素晴らしい紅葉に、何度も足を止めて見入っちゃうので全然進まない!
いやはや、最高だなぁ。。。
そして全然人もいなくて、聞こえるのは風にそよぐ梢の音のみ。
日射しがキラキラと射し込んで、鮮やかな色合いが一層際立っているブナの紅葉がほんと素晴らしくてうっとり。
幸福感でいっぱいです(^^
そんなブナ主体の林の中を九十九折りに登っていくと
ばーんと、晩秋のブナ純林が目の前に!
これまでの斜面とは少し方角が変わったので日の当たり方が変わり、白い幹がよりクッキリと際立って見えて美しい。
いきなりこんな景色が目の前に広がったので、思わず歓声上げて見入っちゃいました。
落葉進んだブナ林の先に、仙人山の山頂を仰ぎ見つつ。
落ち葉ざくざく踏んで進みます。
晩秋のブナ林。
いかにも熊や鹿などの動物が潜んでいそうな斜面を眺めながらぐい~っと。
見通しのよいブナ林なので、目を配りながら歩けて安心感はそこそこあり。
登山道沿いには熊棚は見当たらなかったな。
そして山頂稜線が近くなってくると、すっかり落葉したブナ林の中へ。
これはこれで明るくていいですな。
紅葉の盛りから晩秋の色合い、初冬な雰囲気のブナ林までを一気に楽しむことができました。
そんな林の中をぐい~っと登って、稜線上に到着。
ここで登山道は仙人コースと合流です。
この合流地点は少し開けた広場になっていて、東側の展望が開けてましたが、それは帰りに眺めることにしてまずは山頂へ。
山頂に向けて、ブナや笹、灌木の中の緩やかな道を一歩き。
冬型の天気ということで、秋田側から吹き抜けてくる冷たい風に身をすくませつつ、10分ほどゆる~り歩いて
仙人山山頂に到着。
真新しい標識には「仙人様がおるかもしれないよ~(笑)」と書いてありました。
ここまで来れば夏油や秋田方面が見えるのか?と思っていたら、灌木や笹に囲まれた山頂は展望なし。
ならば、とさっくり山頂を後にして合流地点に戻り、そこで景色眺めながら一休みです。
眼下に広がる斜面の紅葉が美しい。
この右手には、夏油高原スキー場の第2ゴンドラ駅舎が見えてました。
スキー場のある兎森山と、この仙人山は、峰続きだもんね。
北上平野の向こうに聳える早池峰は雲の中。
雲がだいぶ増えてきたけど、それでもなかなかな展望でした。
沿岸部の山々を目で辿るのもまた楽し♪
広場の木立の向こうには秋田方面の山々もちらりと見えていたけど、冬型の天気ということで雲が分厚くてよく見えず。
あ、仙人山おひざ元の錦秋湖は見えてました(^^
さて、一息ついたら下山開始。
来た道をそのまま戻ります。
落葉したブナ林の中を下りつつ、眼下の紅葉の斜面を眺めます。
斜面の向こうに見える三角のとんがりは、和賀三山の一座、羽山かな。
そして再び、紅葉のブナ林の中へ。
いや~、帰りもやっぱり最高なブナ紅葉。
もうあとは下るのみなので、ゆっくり紅葉を眺めて至福の時間を楽しみながら下ります。
順光のブナ林は、濃い色合いの紅葉のキャンバスに白い幹が映えてコントラストがステキ。
逆光のブナ林は、紅葉の梢がキラキラと輝いて、そこに幹がシルエットとなっていてこれまたいい感じ。
深いブナ林じゃないとこんな景色は見られないよなぁ、どちらも素晴らしい景色。
さすが、夏油や焼石と峰続きの山だけあって、素晴らしいブナ林。
標高900m足らずの里山なのに、ここまですごいとは正直びっくりです。
さすが、仙人様が住まう山!
極上のブナ純林を過ぎると、ブナ主体の広葉樹林の中を九十九折りに下ります。
ここがまたいろんな木が混ざっているので、色合いも様々で鮮やか。
ちょうど雲が多くなってきて、日射しが遮られることも度々、それでもなお色鮮やかなのがすごい。
というか、日射しが翳っている方が色が濃く見えるかも。
秋ですなぁ。。。
今年もこんな素晴らしい紅葉の中を歩けてよかった(^^
たまに射し込む日射しに、キラキラ輝く梢。
やっぱり日が翳っているよりは日が射している方が鮮やかでキレイだな。
九十九折りの道を過ぎてトラバース道に入っても、ずーっと続く紅葉の道。
いやはや、タップリ堪能です。
林道に出てきたら登山道は終了。
林道から見上げる斜面は一面錦秋、紅葉のタイミングばっちりでした♪
あとは林道をのんびり歩いて戻るのみ。
谷間の林道は、朝は日射し弱めだったけど、昼近くなって日が高くなったので、タップリ日が射しこんでこれまた紅葉が素晴らしく鮮やかで。
ここでもまた足が止まる(笑)
対岸の斜面もすこぶる鮮やか。
山全体が燃えるような紅葉です(^^
そして帰りは、鉱山跡近くの山神社に寄り道。
苔むした急な石段を登っていくと
割と新し目な本殿に到着。
今でも地元の方の信仰が篤い神社だそう。
本殿の中には、大正二年の神額が掲げられてました。
無事の下山のお礼を申し述べて、帰りは石段を迂回する女坂で林道へ。
神社の後は、水沢鉱山精錬所跡をしばし探検です。
このラピュタ感満載の廃墟がすごいんだな。
廃墟マニアとか探検好きな人は堪らんのでは。
水沢鉱山跡巡りツアーがあるってのもうなずける。
茂みの中のレンガ塀と、崩壊した石積みの跡。
このレンガも、精錬所内で作っていたものだとか。
よく見るレンガとは違って黒光りしているレンガなのが、また興味深い。
草薮の向こうには、謎のアーチ。
奥に行けば行くほど面白い遺構がありそう。水路跡なんかもありました。
アーチの向こうからの景色。
どんな施設があったんだろうなぁ。。。
しかし草薮をかき分けて探検していたごろ太君、戻ってきたら全身草の実だらけ(笑)
大笑いで、2人して草の実取りに精を出しちゃいました。
(私は草薮の手前で止まっていたので被害なし)
しばし遺構を探検したら、これまた遺構なレンガ塀とスラグの山の間を通って下山です。
水沢鉱山跡が予想以上に大きな遺構でびっくり。
登山道沿いに坑道跡や溶鉱炉跡などの遺構が点在しているのも面白かったし、ラピュタ感満載の建物跡もあってかなり面白かった。
そして何より素晴らしかったのが紅葉!
ちょうど紅葉真っ盛りのエリアを林道やトラバース道で歩いたので、色鮮やかな紅葉をずーっと満喫。
その上のブナ美林も素晴らしい紅葉でたまげました。
さすが仙人様の住まう山ですな。
登山道もあまり荒れているところもなく、大きな段差や急なところもほとんどなく、とっても歩きやすかった(ちょっと標識がわかりづらかったけど)。
仙人山、里山ながら素晴らしい山でした。また来よう。今度は仙人コースも歩いてみたいな。
・・・そしてこんなに素晴らしい山なのに、岩沢コースでは誰にも出会わず、稜線上で単独の方お二人とすれ違ったのみ。
静かでこれまた最高でした。
下山後は、花巻の"さかえや本店"で名物の満州ニララーメンに舌鼓(詳細は速報)。
花巻南温泉峡の"山の神温泉なごみの湯"(800円→割引券使用で600円)で源泉かけ流しの温泉にのんびり浸かってから帰宅、でありました。
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