2021/12/11 初冬の安倍奥・山伏へ
静岡の奥座敷・オクシズの山歩き。
オクシズはとは、静岡市の8割を占める中山間部の総称で、奥大井、奥藁科、安倍奥、奥清水の4地域に分けられるそう。
奥大井は、南アルプス南部の玄関口の畑薙があるので何度か歩いたことはあるけど、それ以外は歩いたことなし。
今回は、安倍川上流の安倍奥の最高峰、山伏(やんぶし)に登ります。
"やまぶし"と書いて"やんぶし"と読む。カッコいい!
登山口はいくつかありますが、今回は周回ルートで歩ける西日影沢登山口から出発。
時計回りに山伏に登り、稜線を歩いて日本三大崩れの一つ、大谷崩を下ります。
#大雨の後などは道が崩れることもあるそうなので注意
新東名新静岡ICから梅ヶ島温泉へ向けて車を走らせて、温泉の手前で左折して新田の集落を抜けて日影沢登山口へ。
集落を抜けると沢沿いの狭い道になり、ドキドキしながら走っていくと登山口手前の駐車スペースに到着です。
#トイレなし。
駐車スペースというか、河原って感じ。大雨の後は、跡形もなく消え去ってるかも?!
この手前にも2か所ほど駐車スペースあったし、この先にも停められるところはあったので、歩き方に応じて停めればよさそう。
ちょうど昇ってきた朝日に照らされる山伏の稜線を仰ぎ見つつ、出発。
沢沿いの砂利道を5分ほど歩いていくと
沈下橋が出てきました。
じゃぶじゃぶ歩いて渡ります、が、石が意外と滑っておっかない(笑)
しかもこれ、増水時は渡れないかも。
橋を渡った先に「火の用心」の赤い垂れ幕が張ってあるところが登山口。
ここから山道が始まります。
歩き始めは沢沿いにゆる~り歩く道。
ワサビ田の作業用かな、登山道沿いにはモノレールも設置されてます。
沢向こうに見えるワサビ田。さすが静岡!
こんな山中でワサビ育ててるんだなぁ。
沢沿いを歩いていくと、渡渉ポイントあり。
以前は木橋が設置されていたみたいだけど、流されてしまったようで仮設の橋になってました。
この先にもいくつか渡渉ポイントあり、ほぼ仮設の橋が設置されてました。
沢を渡ると、杉やヒノキの植林の中を歩きます。
所々に小さな流れがあり、やや湿っぽい林。
そういえば安倍奥はヒルが出るという話だけど、この辺りはいかにも出そうな雰囲気ですな。
植林地を抜けると、ワサビ田跡が残る中を歩きます。
昔はこの辺りまでワサビ作りに上がってきてたんだなぁ。
ワサビ田跡の上にはそそり立つ大岩。
この大岩の陰にあったワサビ小屋跡は、ここらあたりでワサビを作っていた昔の名残なんだな。
大岩を過ぎると、沢を離れて尾根へ向けて登り上げる道へ。
まずは崩壊気味の涸れ沢の中をぐい~っと。
道は所々で崩れていたけど、そんな箇所を迂回しつつ、九十九折りに高度を上げていきます。
沢沿いに歩いているときにはあまり感じなかったけど、ザレやガレが多い道。
こりゃ大雨降ったら崩れますな。
沢筋を登り上げると、今度はザレて開けた斜面のトラバース。
ここも崩壊した跡のようで、山全体がこんな感じで崩れやすいんだろうなぁ。
大井川源流付近もこんな感じで崩壊しているところが多いけど、オクシズ全体的にこんな感じなのかな。
ザレ道を歩きつつ、開けた東側を見ると、連なる山並みが一望。
十枚山や青笹山など、山梨県境の山々かな。
斜面の道を登り上げていくと、ベンチがいくつか置かれた蓬峠に到着。
ここで、山伏からの山頂稜線の展望が開けます!
木立越しに見上げる、山伏から大谷嶺へと続く山頂稜線。
斜面はあちこち崩れていて荒々しい感じはあるけど、稜線は結構穏やかなんだな。
さて、登山口から600m弱登ってきてここでようやく半分。
山頂まではあと550m弱、斜度を増した斜面の道を尾根通しに登ります。
すっかり落葉して明るい雑木林の中、ザレ・ガレた斜面を九十九折りに登る道。
斜面は急だけど、道は割と緩やかに切られていて歩きやすい。
ふと顔を上げると、山の稜線の向こうに富士山が顔を出してます!
大きいなぁ、富士山。近いよなぁ。
そして、崩壊した斜面が荒々しい大谷嶺も、だんだんと大きく見えてきて迫力たっぷり。
日本三大崩れの一つでもある大谷崩を今回下るわけですが、間近に見たらもっとすごい迫力なんだろうな。
そんな景色を眺めつつ、ザレた斜面の道をひたすら登ります。
ザレ斜面の割には道はしっかり踏まれていたけど、1か所だけ崩れていてロープがかかる箇所あり。
所々に休憩ポイント?なベンチもある道を登っていくと
標高1,850m付近を越えたあたりで雪道に。
数日前に降った雪なんだけど、結構踏まれていて凍って滑る!
急斜面の細い九十九折りの道なので、足を滑らせたら斜面を転がり落ちるよなぁ、と慎重に歩きます。
そろそろ軽アイゼン持っていかなくちゃ、と思ってたのだけど、すっかり忘れてた。。。
季節の変わり目は、何かしら装備を忘れちゃいますね(^^;
最後の急斜面の道も、凍って滑って割とピンチだったけど、お助けロープがついてて助かった。
いやはや、油断大敵です。
あわやここでUターン?なんて思っちゃいました。
急坂を登り上げれば、あとは山頂まで緩やかな道を歩きます。
ここらの雪は凍っていることもなく、新雪さくさく踏んで気持ちよい道。
シラビソ林の中をのんびり歩いていくと、百畳峠からの道との合流に到着。
百畳峠からの道の途中にある山伏小屋泊まりで歩く人も多いようですが、さすがにこの時期はいないのか、そちらからの道には踏み跡はなし。
合流を過ぎて歩いていくと、山頂直下で、木立が開けてまるで牧場?!な景色に一変。
ここまでの沢沿いの道や、ザレ&ガレの斜面の道とは全く違ってなんとも牧歌的な雰囲気にびっくり。
山伏の山頂には穏やかな草原が広がっている、とのことだったけど、確かにこれはかなり穏やかでいい感じ。
柵で囲まれている草原は、ヤナギラン群生地だそうで。
夏には鮮やかな濃いピンクの花がいっぱい咲くんだろうな。
草原の中には木道も整備されてました。
開けた山頂部からは、冠雪の富士山が一望!
ここ最近、毎週末眺めている富士山。
数日前の降雪で白さが一層際立っているような。
富士山を眺めつつ、久々の雪の感触を楽しみつつ。
ゆったりのんびり歩いて
山伏山頂、到着。
まだ誰もいない山頂を二人占め、ゆっくり景色を眺めます♪
(近くの木道の上で、おじさんが昼寝してましたが(笑))
富士山の展望もよいけど、圧巻なのは山頂の北西側に広がる南アルプス南部の山並み。
冠雪の山並みがずら~り連なる素晴らしい展望にウットリ見とれちゃいます。
まず目に飛び込んでくるのは、真っ白な斜面が大迫力の聖岳。
お隣のまあるいピークは、上河内岳ですな。
黒々した笊ヶ岳の双耳峰から布引山、青薙山と続く南嶺の向こうには、塩見岳、荒川岳、赤石岳。
笊ヶ岳がこんなに間近に見えるなんて!
目を戻して眺める聖岳から南へと続く稜線の先には、茶臼岳や光岳も。
ここらの山って、あまり他の山から眺めることはないので、こうやって目の前に連なっているのを見るとちょっと感動しちゃうな。
山頂広場には一面雪が積もっているけど、日射しは暖かく風がほとんどないので、ぽかぽか陽気で気持ちよい。
こんな贅沢な景色を眺めつつ、のんびりと1時間近くも過ごしちゃいました。
展望素晴らしく、広く穏やかな山頂で。
山伏、ほんといいところです♪
さて、では山頂でのんびり過ごしたら、下山開始。
大谷崩へ向けて、穏やかにアップダウンを繰り返す稜線歩きに出発です。
こちらは歩く人少な目なのか、あまり踏まれていない新雪をさくさく踏んで歩きます。
のんびり歩いていくと、開けた雪原が所々に登場。
雪の上には、ウサギや鹿の足跡も点々とついていて和みます(^^
こちらは十枚山や青笹山かな。
開けて気持ちよい景色であります。
北側の木立の隙間からは、北岳と鳳凰三山も見えたりして♪
北岳のとんがりっぷりがすごい。
稜線上の道には、昔の林業の名残か、すっかり錆びた滑車やロープが残されてました。
南アルプス南部もこんな遺構が結構あったよなぁ、なんて思いつつ。
そんな感じで景色を眺めつつ、のんびりゆる~り歩いてた稜線の道ですが、新窪乗越に近づくにつれて道幅は狭くなり、やや岩がちなところも登場。
雪が凍っているところもあり、足を滑らさないように慎重に歩きます。
岩がちの稜線を歩いていくと、新窪乗越に到着。
ここから大谷崩を下ります。
大谷崩を上から見下ろすと、こんな感じ。
いったいどこを下るんだ?と思うけど、よく見るとザレの中に踏み跡がしっかり続いてました。
時間があれば大谷嶺も寄り道したかったのだけど、新窪乗越からは往復1時間強かかるそうで。
この積雪で歩きづらくなってるかもしれないし、うちらの足だと下山が遅くなっちゃうので、寄り道はまたの機会ってことで。
ごろ太君はちょっと残念そうでしたが(^^
というわけで、大谷崩へ!
一面ザレ&ガレの急斜面、それでも結構踏み跡はしっかりしていて九十九折りになっていて意外と下りやすい。
もっとザレザレで足元崩れまくりかと思ってた。
下りながら見上げる大谷嶺の稜線直下の斜面。
一面崩れていてすごい迫力。
下っていると、大谷嶺の直下の斜面を石がカラカラと落ちていく音が聞こえたりして。
今でもリアルに崩れてるんだなぁ、どうか今地震が起きませんように、と気持ち足早になりつつ下ります。
300年ほど前の宝永地震で山体崩壊してできたという大谷崩。
日本三大崩れの一つでもあり、まさかそこを歩いて下れるとは思わなかったなぁ。
前方に開ける景色も、見上げる大迫力の斜面も、ちょっと見たことないくらいのすごい景色でした。
上部の急斜面を過ぎ、斜度が緩んでガレっぽくなってくると、崩れの中の道はほぼ終了。
まだまだ気は抜けないけど、少しほっと一息。
300mほど一気に下ると、木立の中の涸れ沢沿いの道に。
まるで岩が流れ下ったかのような涸れ沢には、大きな岩がごろごろ転がってます。
沢沿いに下って砂防ダムの大きな堰堤を回り込んでいくと、そこから先は雑木林の中の緩やかな道。
何か所か、土石流の跡のようなガレ場を越えつつ下ります。
両側に見上げる斜面はあちこち補強工事中。
300年前に大崩壊したところだけど、今でも大雨の後には土砂崩落があるそうで。
未だに砂防工事が続いているとは、大谷崩の規模の大きさにびっくりです。
大谷崩登山口まで下ってくると、ここから先は舗装路を下ります。
砂防工事の車が通れるように、広い道も整備されているんだな。
#駐車場は、登山口の下のゲート前にあり
大谷崩の直下に作られている、大谷階段ダム群を見上げます。
こんなに大規模な砂防工事が必要とは、自然の脅威とパワーには圧倒されますね。
大谷崩登山口から西日影沢登山口までは、舗装路を1時間ほど歩いて戻ります。
退屈な道だけど、延々と続く砂防ダムを数えつつ下っていたら意外とあっという間でした。
距離も標高差もあり、ザレた箇所も多い道でしたが、結構歩きやすかったし景色も変化があって、楽しみながら歩くことができました。
山伏山頂からの南アルプス大展望も素晴らしかった!
大谷崩の迫力ある崩壊斜面にも圧倒されました。
安倍奥の山って、もっと薄暗くてじめじめしてて鬱蒼としたところなのかと思ってたけど、明るく展望よく気持ちの良い道で楽しかったなぁ。
晩秋のこの時期に、このエリアはまた歩きたい。
下山後は、近くの梅ヶ島温泉の日帰り温泉、黄金の湯へ(700円)。
つるつるとろとろの温泉に癒されました♪
そしてこの翌日は、沼津海鮮&ドライブでプチ観光(詳細は速報)。
山も観光も楽しんだ週末でありました。
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コメント
お疲れさまです
天気で、オクシズの色々な顔が見れて楽しかったです
富士山は、どこから見ても絵になりますね
そろそろ、積雪が多くなってきて楽しみですね^^w
投稿: たむ | 2021年12月15日 (水) 22時01分
たむさん>
オクシズの山は、そこに向かう道も奥地な感じでちょっと独特ですね。
山も明るく展望もよく、とっても楽しめました。
今年は、いろんな角度からだんだん雪が増えつつある富士山を眺めているので、これまた楽しいです(^^
投稿: まきchin | 2021年12月16日 (木) 22時31分
ご無沙汰しております。まきchinごろちゃんご夫妻はそろそろスキーシーズンですね。この老兵も山宿仕事からひらばに下がりなんとかやっております。何処かでお会いしましたらよろしくお願いいたします。
投稿: 黒部のシュン | 2021年12月16日 (木) 22時56分
シュンちゃん>
夏場のお勤め、おつかれさまでした!
そろそろスキーシーズンですが、山歩きもまだまだ楽しくて。
こちらこそ、お会いしたときはよろしくお願いします!よい雪山シーズンになりますように♪
投稿: まきchin | 2021年12月17日 (金) 22時53分