2019/10/21 南八甲田・櫛ヶ峯
整備されていて歩きやすい北八甲田とは異なり、藪深く歩く人も少ない南八甲田。
2018年に猿倉温泉から櫛ヶ峰分岐までの道(旧道)の笹の刈り払いが行われ、そして櫛ヶ峰分岐から櫛ヶ峰への道も今年9月に刈り払いされた、との話を聞いて、これはチャンス!と。
一度は歩いてみたいと思っていたこの道、再び藪化する前に、と紅葉のこの時期に行ってきました。
入山口は猿倉温泉。
温泉の奥まで車を走らせていくと、トイレと休憩所を回り込んだ裏に10台ほどの駐車スペースがありました。
GWに山スキーで来るときは、ここは完全に雪の下だもんなぁ。
こんな広場があったなんて知らなかった。
先行車はなし、と思ったら、後から一台やってきて先行。
準備してたら、朝日に照らされた紅葉が真っ赤に輝いて。
うーん、素晴らしい紅葉!
こりゃ歩き始めは素晴らしい紅葉が楽しめそう、とワクワクしながら出発。
足元はかなり水浸しとの情報があり、最初からスパッツ装着です。
歩き始めてすぐに、猿倉岳を経由する山道コースの分岐を通過。
そっちは藪化してるとのことなので、今回はスルー。
そして早々に始まる紅葉の道!
前日の白神山地・天狗岳に増して素晴らしい紅葉。
木々の隙間からは紅葉に縁どられた高田大岳を仰ぎ見ます。
かっこいい♪
そしてこちらはブナの回廊の道。
山の東斜面の道なので、朝日をいっぱい浴びてキラキラ輝いて、なんとも色鮮やか(^^
青空とブナの黄葉と。
ブナの幹や梢がシルエットになって見えるのが、ほんといいんですよねぇ。
落ち葉をさくさく踏みながら歩く黄金色の道。
ちょうどこのあたりの紅葉がピークなんだなぁ、ここだけでも十分歩く価値あり!
そんなブナ回廊の道は、落ち葉が敷き詰められた穏やかな道もあれば、道が沢になってたり盛大に水たまりになってたりするところもあり。
ゆる~り歩いていくほどに、前方の木立の隙間からはちらちらと赤倉岳が見えてきたりして。
そんな道を緩やかに歩いて、標高1,000m付近でヘアピンカーブで折り返すと、紅葉の道は終了。
笹薮と葉っぱを落とした木々に囲まれた、滑りやすい石がごろごろ敷き詰められた沢状の道をじゃぶじゃぶと歩いていくと
こちらは猿倉岳!
GWに滑った東面を見上げてます。
GWには一面真っ白な斜面でしたが、この時期は紅葉した木々に覆われててとってもキレイ(^^
矢櫃湿原を過ぎると、だんだん沢音が近づいてきて
矢櫃橋に出てきました。
GWにはスノーブリッジで渡ってたこの橋、こういう橋だったんだ!
橋を渡ったら、矢櫃岳の北面を巻くように付けられた道へと進みます。
乗鞍岳分岐までは標高差にして150m程度、滑れば数ターン、スキーで登れば30分弱の距離なのに、夏道だとぐるりと廻りこむ緩やかな道を1時間。。。
ショートカットしたい。。。
そんな緩やかな道を、猿倉岳を背に歩きます。
ここら辺はダケカンバが多い。
緩やかな道沿いには石垣も。
この道は、昭和初期に救農対策として、猿倉温泉から御鼻部山をつないで作られた27㎞の歩道の一部だそうで。
確かに所々石畳みたいになってるし、石垣もあるし、この先洗掘されてる所には土管みたいのが顔を出してたりするのはそういうわけなんですな。
すっかり落葉した木々の先には北八甲田の山並みが覗いてます。
晩秋ならではの眺め♪
滑りやすい石畳の道をゆる~り歩きます。
旧歩道だから、こんなに緩やかに斜面を周りこむようにして道がつけられてるのね。
こっちとしては、一気にショートカットして登っちゃいたいんですが。。(^^;
途中、冷たい水がじゃんじゃん湧き出ている水場があり。
松次郎清水だそうで、とっても美味しい水でした(^^
清水で喉を潤して歩いていくとほどなく、沢を渡って乗鞍岳分岐に到着です。
沢を渡った先には黄金色の小さな湿原が。
ここから乗鞍岳へと登る道が分岐してるわけですが、ぱっと見、よくわからないかも。。。藪化してる?
さて、我らはこのまままっすぐ旧道を進みます。
草原から少し登っていくと
展望も開けたことだし、ここから先は開けた道かな?と思いきや、まだまだ続く鬱蒼と茂る笹の中の道。
しかも洗掘された箇所が多く、そんなところは沢になってたり池になってたり。
最初のうちは道脇の土手部分を辿ってたけど、土がつるつる滑りやすくて歩きづらいので、そのうち諦めてじゃぶじゃぶ水線突破(笑)
・・・ここらあたり、昨年刈り払いされるまでは笹薮がひどかったようで。
この歩きづらさでかつ笹薮だったら、もう進む気がなくなるだろうなぁ。
刈り払い整備の方には、ほんと感謝であります。
そんなじゃぶじゃぶドロドロ道を歩いていくと、ぽこっと視界が開けて小さな湿原に出てきました。
湿原の先には、駒ヶ峯!
振り返れば猿倉岳。
んー、ようやく南八甲田らしい景色になってきた。
笹薮はだいぶ低くなってきたけど、まだまだ続くじゃぶじゃぶ道。
こんなに水が溜まってるのは、前々日に雨が降ったから?
やや深そうなところもあり、覗きこみつつじゃぶじゃぶ歩きつつ。
あまりにも道が池になってるところが多すぎて、浸水しないはずの登山靴にじわじわ浸水してきたりして。
そんな道を歩いていくと、前方に駒ヶ峰と櫛ヶ峯が見えてきました。
いやぁ~、櫛ヶ峯、遠いなぁ。。。
結構歩いてきたのに、まだあんなに遠くに見えるんだもんなぁ。
それでも、ようやく櫛ヶ峯が見えてきて嬉しいようなホッとするような。
相変わらずのじゃぶじゃぶ道を歩いていくと
地獄峠に到着。
ここで黄瀬沼への道が分岐しますが、その道を指す矢印の上には「悪路・ひどい」との書き込みが。。。
どんだけひどい道なんだ?!(笑)
うちらはもちろん黄瀬沼へは行きませんが、ちょこっとその道に入ってみると
ステキな池塘がありました!
青空を映して真っ青、黄金色の草紅葉の草原とのコントラストが素晴らしい。
鏡のような池面には逆さ駒ヶ峯も♪
長い道のりの途中に登場するこんな穏やかな景色には、ほんと癒されますね(^^
ここまでのじゃぶじゃぶ道で若干お疲れ気味だった気分も、この池塘の景色に一気に癒されて。
あと一息、頑張るぞ!
地獄峠から駒ヶ峯分岐へは、沢を3回渡りながら緩やかに歩きます。
相変わらずの洗掘された水たまりの道、沢を渡るたびにアップダウンを繰り返しつつ。
そして到着した駒ヶ峯分岐から見上げる駒ヶ峯への道は、完全に笹薮の中。
そんな藪道を右に分けて、スッキリ刈り払いされた旧道を進みます。
開けた笹原の中のトラバース道。
なんだか久々に気持ちよい道に出てきた、て感じ(笑)
ここからはようやく乾いた道を歩けるのか?と思ったら、まだまだ所々でぬかるみ道が登場してきたり。
何度か沢を渡りながらそんな道を歩いていくと、左手に大きな湿原が登場。
田型萢ですな。
湿原の先に見えているのは戸来岳かな。
田型萢を過ぎるとほどなく、松森や御鼻部山への道(ほぼ廃道?)との分岐に到着。
朽ち果てた標識と、あるのかないのかわからない道?を左に分けて登っていくと
開けた黄瀬萢に出てきました。
そして、草紅葉の湿原の先には櫛ヶ峯が!
いきなり近くなった!!
気持ちよく開けた黄瀬萢。
花の時期は湿原の花々がいっぱい咲き乱れてるんでしょうね。
今はどこまでも続く黄金色の草原と、そこを吹き抜ける風が、なんとも心地よい(^^
湿原の中に一本続く木道を歩いていくと、だんだんと櫛ヶ峯が近くなってきて。
GWに滑っている斜面を目で辿りつつ歩くのもこれまた楽しい。
ここはほんと、長い道のりの中の天国ですな。
癒しの空間でありました。
さて、黄瀬萢をすぎれば櫛ヶ峯へはぐいっと一登り、と思いきや、まだまだ続く難儀な道。
沢を何度も渡ったり、笹薮の中の道を歩いたり。
黄瀬萢から先、こんなに何本も沢があるなんて知らなかったなぁ。
山スキーシーズンはすっかり沢が埋まっていて、つるっとした斜面だもんなぁ。
黄瀬萢から櫛ヶ峯へと登り上げる笹薮の道は、1か月前に刈り払いされたおかげで歩きやすくなっているのが幸い。
刈り払われた笹が敷き詰められた道を歩きます。
それにしても、最後の最後でここが笹薮だったら萎える。。。
沢を何度も渡り、笹原の中のトラバース道を登っていくと、山頂から広がる草原の下に出てきました。
なんとも気持ちよい斜面!
背後には駒ヶ峯、その後ろには八甲田大岳。
だんだん雲が増えてきた中を登ります。
草原のトラバースを過ぎると、草原を縁どるように山頂まで続く笹の中の急坂へ。
だんだんと高度を上げていくと、右手には北八甲田の山並みが見えてきました。
山頂まであと少し!
笹の中の道はかなりの急坂で、土もつるつると滑りやすい。
所々洗掘された道には、途中に丸太の階段も登場。
そんな道を一気にぐい~っと登り上げて
櫛ヶ峯山頂、到着!
いやぁ~、長かったなぁ。
山スキーで直線的に登るほうがずっと楽だったなぁ、でもそれだけに感動もひとしお(^^
開けた山頂からは、北八甲田の山並みが一望。
八甲田大岳の斜面が真っ赤に染まってるのがよく見える。
ちょうど酸ヶ湯あたりが真っ赤なのね。
十和田湖方面に広がる林も真っ赤っか。
やや霞み気味ながらもなかなか見事な紅葉を見下ろします。
東斜面の向こうには、駒ヶ峯と猿倉岳、乗鞍岳。
穏やかに連なる南八甲田の山並みにうっとり見とれちゃいますね。
・・・でも山スキーの時期と同じく、遠くに見える猿倉岳の向こうまでこれから戻るのか~、と若干げんなりしたりして(笑)
櫛ヶ峯への最後の登りに取り付いたあたりで雲が増えてきたけど、幸いにして時折日が射してくれて、明るい山並みを眺めることができて良かった。
いつかは櫛ヶ峯から緑の南八甲田の山並みを眺めたいなぁ、と思ってたので、ようやくそれがかなって満足!
山頂でのんびりと景色を眺めたいところですが、あまりのんびりしてると日が暮れちゃう、というわけで。
30分ほど過ごしたら、山頂を後にして下山開始。
後ろ髪引かれつつ下ります。
とは言っても、またGWにスキーで来るだろな。
ちょうど空に一面雲が広がってきたということもあり、帰りはさくさく歩きます。
地獄峠を過ぎたところの湿原で振り返って、櫛ヶ峯を見納め。
また(山スキーで)来るよ!
櫛ヶ峯の眺めに別れを告げたら、あとは心置きなくすたすたと、緩やかな道をじゃぶじゃぶ歩いて下ります。
そして猿倉温泉が近くなると、再びブナ黄葉の回廊に突入。
曇り空ながらも、鮮やかな紅葉!
最後にこんな紅葉が迎えてくれるってのは嬉しい限り。
ここまでさくさく歩いてきたのに、紅葉が素晴らしくてここで一気にスピードダウン。
そして歩き始めて9時間半、ようやく登山口に戻ってきて、この日の山行は終了!
途中で出会ったのは単独の方一人のみ、静かで山深い南八甲田の山歩き。
刈り払いをしていただいたおかげで歩きやすく、そして登山口付近は見事なブナ紅葉、山の上部は素晴らしい草紅葉の道。
一度は歩いてみたかった南八甲田の道をようやく歩くことができて、満足です。
歩きごたえありまくりだったなぁ。
八甲田を後にして下っていく途中、夕焼け空に浮かぶ岩木山が。
紅葉も素晴らしかったけど、夕焼けの色づきっぷりも素晴らしい(^^
そしてこの日は、浪岡の健康の森花岡プラザの日帰り入浴へ(360円)。
つるっと香ばしい温泉で長距離歩いた足をほぐしたら、道の駅なみおかで車中泊。
翌日は、前日と前々日の山歩きでかなり満足&微妙なお天気だったので、山歩きはやめて八戸グルメ&観光、でありました(詳細は速報)。
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